地球にとって重要な役割を果たす熱帯雨林。しかし、熱帯雨林は日に日に減少している、ということは誰もが聞いたことがあるでしょう。

 

熱帯雨林はなぜ減少し続けているのでしょうか。熱帯雨林が減少し続ける原因や、その役割をご紹介します。

 

日々減少している?熱帯雨林とは?

熱帯雨林という言葉は、誰もが聞いたことがあると思いますが、正確な意味を問われると、上手く説明できない人もいるかもしれません。まずは熱帯雨林とは、どういうものなのか、おさらいしてみましょう。

 

熱帯雨林とは、実は熱帯林の一種です。熱帯林は寒気でも平均温度18度以上となる、熱帯地域に分布する森林のことです。それに対し、熱帯雨林は年間を通して雨が非常に多い、多雨地域に分布する熱帯林を指すのです。

 

熱帯林は他にも存在します。明瞭な乾季を持つ熱帯地方に分布する熱帯季節林、熱帯の山地に分布する熱帯山地林などです。

 

これらの熱帯林は、地球環境の維持にとって重要なものですが、急速に減少しています。そのペースは毎年、北海道の面積の77%と言える600万ヘクタールが地球上から消えている、と言われるほどです。さらに、熱帯林が消失する影響で、そこに生息する動植物の種も消滅しているのです。

 

酸素の排出だけじゃない!熱帯雨林の役割とは?

熱帯雨林を含む、熱帯林は重要だと聞きますが、具体的にはどのような役割を果たしているのでしょうか。有名なのは、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出するということです。

 

この他にも、熱帯林は地球環境に恩恵をもたらしています。例えば、森林は雨を地下に蓄え、徐々に流出させることから、土石流を防ぎ、水資源の確保にも役立っています。

 

また、熱帯林によって作られる豊かな生態系によって、多くの動植物が育まれることも、人間にとって大きな恩恵となります。それは、遺伝子資源という言葉があるように、熱帯林に住む動植物が、食品や医療品、エネルギーとして活用されるからです。熱帯雨林を木材として利用することは容易に想像できますが、それだけでなく、さまざまな資源を私たちにもたらしてくれるのです。

 

熱帯雨林の減少と劣化!原因は人間による開発か

このように、地球環境にとって重要であり、私たちにさまざまな恩恵をもたらす熱帯林ですが、なぜ急速に減少しているのでしょうか。それは人間による開発が原因の大半を占めると言えます。

 

中でも有名なのは、焼畑農業による熱帯雨林の消失です。焼畑農業は森林を焼き払うことで、土壌の窒素組成が変化し、作物栽培に適した土地にします。また、焼け残った草木や灰が肥料になり、雑草や病害虫を駆除の効果もあることから、伝統的に行われる農業形態なのです。

 

本来であれば、この方法は20~30年のローテーションによって行われ、土地の回復を待つものですが、人口増加の影響もあり、頻繁に行われるようになってしまいました。他にも、人口増加によって熱帯林がある土地を農地や牧草地に転用するなど、次々と減少してしまうのです。

 

そして、これらは森林の再生能力を劣化させています。このままでは、熱帯雨林は減少する一方だと考えられるでしょう。

 

熱帯雨林の減少に関する取り組み

熱帯雨林の減少に対し、国際的な取り組みがいくつかあります。

 

1985年に採択されたFAO(国連食料農業機関)による熱帯林の適切な開発と保全を図る「熱帯林行動計画」や、1986年のITTO(国際熱帯木材機関)の設置などです。

 

さらに、1992年に開催された地球サミット(国連環境開発会議)で「森林原則声明」も採択されました。これは、世界中の森林に関する問題を各国が協力して解決することを目標にしたものですが、木材が経済資源である開発途上国からの反発があり、法的な拘束力はない権威ある原則声明、とされています。

 

人類はこれからも熱帯雨林を守っていく必要があります。私たちが個人で何かできる、ということは決して多くはありませんが、小さなことでも意識してみてください。