私たちの生活を支える生態系ですが、環境問題によってそのバランスが崩れてしまうことがあります。

 

そんな生態系の崩壊を招く環境問題として挙げられるのが、外来種による問題です。

 

外来種による環境問題とは、私たちにどのような影響をもたらすのでしょうか。

 

外来種による問題と、その対策などをご紹介します。

 

外来種による問題とは?

外来種、という言葉は誰でも耳にしたことはあるでしょう。

 

しかし、外来種の定義とは具体的にどういったものを指すのでしょうか。

 

外来種とは、もとはその地域に存在しなかったにも関わらず、別の地域から何らかの理由で入り込んでしまった動植物のことを言います。

 

ほとんどの外来種は、訪れた土地の環境に合わず、定着することはありませんが、中には適応する場合があります。

 

新たな土地に適応してしまった外来種は、天敵が存在しないことが多く、成長と繁殖が進んでしまい、侵略性を発揮してしまうことがあるのです。

 

また、外来種は国外から入ってきた動植物だけを指すわけではなく、国内の別の場所から移動してきたケースもあります。

 

日本国内でも、海に囲まれた島で、独自の生態系が築かれることもあり、そこに別の地域の動植物が根付くということも考えられるのです。

 

問題となる外来種はどこからやってくる?

外来種はどのようにして、存在するはずのない地域まで入り込んでしまうのでしょうか。

 

実は、その多くが人間によって別の地域に持ち込まれたことが原因となります。

 

明治時代以降、国土開発が急激に進み、野生生物の住処が減少し、外国から飛行機や船で持ち込まれた生物が、その地域に定着することが増えました。

 

人間に持ち込まれたと言っても、2通りのパターンが考えられます。それは意図的に持ち込まれたか、偶然持ち込んでしまったか、というパターンです。

 

意図的である場合は、ペットとして動物を外国から持ち込み、管理不足によって逃げ出してしまい、野生化して繁殖してしまいます。

 

意図的ではない場合は、人間が移動する際に植物の種子や昆虫が、付着してそのまま持ち帰ってしまう、ということです。

 

どちらにしても、人間が自然の摂理を超えた移動手段を手に入れてしまったことが原因と言えるかもしれませんね。

 

外来種の問題が与える影響は?

それでは、このような外来種問題は、定着してしまった地域にどのような影響をもたらすのでしょうか。

 

・生態系のバランスが危機に

生態系は長い時間をかけて作られ、絶妙なバランスによって成り立っています。

 

しかし、そこに外来種が入り込んでしまうと、在来種が何らかの被害に合い、生態系のバランスが崩れてしまいます。

 

また、在来種が近縁の外来種と交雑することで、遺伝子汚染が起こる恐れもあるでしょう。

 

・農林水産業に悪影響の恐れ

外来種が田畑を荒らすことや、漁業の対象となる魚を捕食してしまうなど、農林水産業に影響をもたらすこともあります。

 

近年では都内でアライグマによる被害が増加し、農作物だけでなく住居まで荒らされる事態に。

 

つまり、外来種問題は私たちの衣食住にも関係する恐れがあるのです。

 

・人間の健康被害の恐れ

外来種はその地域に住まう人々にとって、想像もできないような危険性を持っている場合があります。

 

何も知らず珍しい動物がいる、と近付いた瞬間、噛まれてしまう…ということも考えられるのです。

 

中には危険な毒を持っている場合もあり、その地域になかった病気の発症や感染症の原因にもなってしまいます。

 

外来種の問題を防ぐ対策とは?

外来種問題は生態系を崩壊させる危険性があり、これを防がなければなりません。

 

2005年、この問題に対策するため「外来生物法」が施行されました。

 

正式には「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」と言って、明治時代以降に持ち込まれた外来種の中でも特に問題視されている生物を「特定外来生物」とし、飼育や栽培、運搬から販売といった行為を禁止しています。

 

また、既に定着してしまった特定外来生物は、必要に応じて駆除の指導もあります。

 

駆除という解決方法を取らないためにも、私たちは動植物に接触する際は、しっかりと責任を持つ必要があるでしょう。