ここ数年はプラスチック製のストロー廃止や、スーパー・コンビニのレジ袋が制限されるなどの取り組みが見られます。これは全世界で話題になっている、プラスチックによる環境問題が原因です。

 

プラスチックによる環境汚染によって、大変な被害に合っているのはウミガメなどの動物です。プラスチックによる環境問題と犠牲になっている動物をご紹介します。

 

プラスチックが環境問題に!動物に悪影響

プラスチックは耐久性があり、腐敗もないという特徴が大変便利で、過去から現在まで大量に生産されてきました。

 

しかし、その特徴ゆえに自然界で分解されることなく、残り続けて環境を汚染してしまうという側面があります。ゴミの管理が不十分である地域から、プラスチックが海に流れ込み、動物が誤食してしまうことも。1950年代から大量生産が始まったプラスチックは、このまま増え続けて海へ流出したら、2050年には海の魚の量よりも上回ると言われています。

 

これは、海に生息する動物たちだけの問題ではありません。なぜなら、プラスチックが海洋生物を通して食物連鎖に入り込み、最終的には人間に影響がある恐れがあります。また、海だけではなく、山や大気中からもマイクロプラスチックと言われる、微小のプラスチック片が発見されています。このマイクロプラスチックを回収することは、非常に困難であり、プラスチックによる環境汚染は広がり続けていると言えるのです。

 

プラスチックの環境問題で命を落とす動物

それでは、マイクロプラスチックで命を落とす動物たちの例をご紹介します。

 

・ウミガメの体内からレジ袋が

プラスチックによる環境問題の象徴とも言える動物がウミガメです。レジ袋を誤飲、ストローが体に突き刺さる、プラスチック製の漁具に絡まって死亡するなど、ウミガメがプラスチックによって死亡するケースは多く報告されています。

 

そのなかには絶滅危惧種のウミガメもあり、このままプラスチックが増えることで、貴重な種が失われる恐れは十分あると考えられます。

 

・クジラの体内から大量のプラスチック

クジラやイルカのような大きい動物は、無意識のうちにプラスチックを飲み込んでしまいます。プラスチックを飲み込んでしまったクジラやイルカの内臓は破壊し、死に至らしめるのです。

 

インドネシアの海岸で発見されたクジラの死体からは、6キロに及ぶプラスチックが発見され、多くの人に衝撃を与えました。その内容はプラスチックのコップ、ペットボトル、サンダルなどが含まれていました。

 

・海鳥からプラスチック片

海鳥は魚を食しますが、海面に浮くプラスチックを誤食してしまいます。死亡した海鳥は、ペットボトルのフタやビニール袋の破片など。海鳥も絶滅が危惧される種が多く、生物多様性の危機として注目される例だと言えます。

 

プラスチックを動物が誤飲する原因は?

しかし、なぜ動物たちはプラスチックを誤食してしまうのでしょうか。その原因はプラスチックに付着している匂いが原因ではないか、と言われています。

 

海の生態系にとって重要な藻類は、ジメチルスルフィド(DMS)と呼ばれる匂いを発生させ、それに魚や海鳥が集まります。そんな藻類はプラスチックに付着して繁殖する特性があり、藻類が死滅した後もジメチルスルフィドの匂いが付着し続けるプラスチックもあります。この現象により動物はプラスチックを餌と勘違いしてしまうのです。

 

このような悲劇を増やさないためにも、私たちはプラスチックの取り扱いや処分については注意しなければなりません。