観光は環境を破壊する人間活動として知られていますが、例外もあります。それがエコツアーと言われる、環境に優しい観光です。

 

エコツアーとは、なぜ環境に優しく、どのような経緯で誕生したのでしょうか。環境に優しい観光、エコツアーをご紹介します。

 

エコツアーとは？環境に優しい観光

エコツアーとは、その名の通り「エコ」と、旅行を意味する「ツアー」を合わせた言葉です。最大の特徴は、自然を観察し、体験もできる、環境に優しい旅行であることです。このような自然や文化を楽しみながら、環境と持続可能性を考慮する観光をエコツーリズムとも言って、環境保護や遺跡保存のために基金を寄付する、という目的もあります。

 

エコツアーのもう1つの特徴としては、山や森といった自然を、プロのガイドが案内してくれることです。プロのガイドによる解説があるため、自然をより理解できるだけでなく、傷付けてしまうリスクも低くなります。

 

さらに、田植えや植林といった体験ツアーもあり、観光の可能性を実感できるでしょう。そんなエコツアーは、どのような経緯があって誕生したのでしょうか。

 

エコツアーの歴史とは？誕生の経緯

エコツアーは、人々の環境問題に対する意識の高まりによって誕生します。

 

1980年代後半、環境意識の高まりによって、大衆による観光活動が自然破壊の要因になると認識され始めます。また、同時に観光は環境保全について学べるということも認識されつつありました。途上国では、観光が開発から自然を守り、さらに資源を得て、貧困が原因となる環境破壊も防止するケースが見られていたのです。

 

日本も1990年頃からその傾向が見られ、屋久島と言った観光地でエコツアーを実施する民間事業者も登場しています。さらに環境庁(当時)によって、1991年に「沖縄におけるエコツーリズム等の観光利用推進方策検討調査」が実施され、エコツーリズムの調査が開始されました。1990年代の後半は、日本エコツーリズム推進協議会などの民間推進団体が次々に登場します。

 

2003～2004年には有識者と関係府省で構成するエコツーリズム推進会議を開催され、エコツーリズム推進が国をあげて始まりました。そして「エコツーリズム推進法」が設立し、2008年4月に施行されます。

 

日本で楽しめるエコツアーは？

日本国内でエコツアーを楽しむとしたら、どのような観光地があるのでしょうか。国内で知名度の高いエコツアーの観光地をご紹介します。

 

・屋久島

鹿児島県の屋久島は、屋久島国立公園の中核をなし、世界自然遺産の一つに登録される、自然豊かな観光地です。屋久島は、島の大部分が原生林で覆われ、樹齢が1000年を超える屋久杉が見られます。プロのガイドに案内されれば、きっとその神秘性を深く堪能できることでしょう。

 

・白神山地

青森県と秋田県をまたがる大自然、白神山地も日本に存在する世界遺産の1つです。世界最大級の規模で分布するブナ林や、十二湖や暗門の滝など、手付かずの自然を楽しめます。価値のある自然をぜひプロのガイドに案内されたいところですね。

 

・利尻島

北海道の北部に存在する利尻島も、プロのガイドに案内してもらえるエコツアーの対象です。利尻島と言えば、北海道の銘菓として名高い「白い恋人」のパッケージに描かれた、利尻山ではないでしょうか。その他にも、オタトマリ沼といった珍しい湿地性植物を観察できる、南浜湿原も有名です。

 

・石垣島

沖縄の石垣島も有名な観光地です。美しい海でシュノーケリングをすれば、海や珊瑚も観察できます。カヤックでマングローブの森も探検できるので、プロのガイドに案内されて安全に楽しみたいですね。

 

・鳥取砂丘

日本最大の砂丘、鳥取砂丘もエコツアーの対象です。美しい景色はもちろん、砂の上をボードで走るサンドボードも楽しめます。自然の中で楽しく遊べることも、エコツアーの醍醐味と言えるでしょう。

 

マナーを守ってエコツアーを楽しもう

日本国内だけでも、このようなエコツアーは多数存在します。自然豊かな観光地が、訪れた人々によって汚されてしまうケースは少なくありませんが、このような取り組みにより、環境に優しいツアーが増えれば、素晴らしいことでしょう。

 

ただ、エコツアーだからといって、気が緩んでしまったら自然を汚してしまうかもしれません。自然と触れるときはマナーやルールを守って楽しみましょう。