日本が誇る怪獣特撮映画の中でも、最も有名な怪獣と言えばゴジラではないでしょうか。そのゴジラは、ビキニ環礁という場所で放射能を浴びた生物が、怪獣の姿に変貌したという設定です。
ビキニ環礁とは、どういった場所なのでしょうか。そして、なぜゴジラが放射能を浴びた場所、という設定に使われるようになったのでしょうか。世界遺産にも登録されたビキニ環礁の歴史をご紹介します。
ビキニ環礁はどんな場所?美しい環境だけじゃない
ビキニ環礁とは、西太平洋のマーシャル諸島に存在する、環状に形成される珊瑚礁です。ビキニ島とも呼ばれ、第二次世界大戦前に日本が作った海図には、ピキンニ島と記述されていました。
大小の23の島々からなり、面積は594.1平方キロメートルとなります。珊瑚礁が広がっているため、大変美しい景色が広がるビキニ環礁ですが、核実験の場所としても有名です。
そのため、ビキニ環礁の付近には、20世紀の戦争が残した負の遺産が見られ、歴史も学べる場所と言えます。また、水着のビキニはこのビキニ環礁の核実験が由来となっています。
ビキニ環礁の核実験やビキニの由来になるまで、どのような経緯があったのでしょうか。
ビキニ環礁で行われた核実験
現在は、マーシャル諸島共和国に属しているビキニ環礁ですが、1946年はアメリカの信託統治領でした。アメリカはビキニ環礁を核実験の場所に決定。170人の住民を無人島である、ロンゲリック環礁へ移動させました。その際、住民たちはロンゲリック環礁で食料を調達することが難しく、飢餓に苦しむことになります。
1946年の7月、ビキニ環礁で核実験、クロスロード作戦が行われます。これは、大小71隻の艦艇を標的とした、原子爆弾の実験です。標的となった戦艦は「ネバダ」「ニューヨーク」などがありましたが、第二次世界大戦で接収した大日本帝国海軍の戦艦「長門」や、ドイツ海軍の重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」も含まれていました。
さらに1954年は、キャッスル作戦と呼ばれる4度の水爆実験が行われます。このときの爆発の威力は、海底に直径約2キロ、深さ73メートルのクレーターが作られるだけでなく、ビキニ環礁から40キロ離れたロンゲラップ環礁の島民や、日本の第五福竜丸を含む漁船が被爆することになりました。
このキャッスル作戦が行われた3月1日は「ビキニ・デー」と言われ、原水爆禁止運動の記念日となっています。
ビキニ環礁が世界遺産に登録
核実験という大変な事件があったビキニ環礁ですが、2010年に文化遺産に登録されます。世界遺産として選ばれた理由は、核実験の恐ろしさを伝える、重要な証拠が保存された場として評価されたことです。これは、広島の原爆ドームに続く「負の遺産」としての登録で、美しい珊瑚礁があるにも関わらず、自然遺産ではなく、文化遺産として世界遺産に登録されることは、異例なことでした。
また、ビキニ環礁は水着の由来にもなっています。これは水着が登場したときが、クロスロード作戦の直後であり、ファッションデザイナーのルイ・レアールが、水着の大胆さを原爆に例えたことが由来になっています。
そして、日本の有名な怪獣であるゴジラも、誕生の設定はビキニ環礁が深く関わっています。1954年に公開された、ゴジラの第1作では「ビキニ環礁の原爆実験によって安住の地を追われた」という設定ですが、その後のシリーズの多くが「ビキニ環礁の原子爆弾研究の放射能を浴びて変貌した生物」と説明されています。
つまり、ビキニ環礁は私たち日本人にとって、関係の深い場所だと言えるのではないでしょうか。
ビキニ環礁の出来事を忘れずに
ビキニ環礁は、人間にとって忘れてはいけない場所であり、語り継ぐべき歴史があると言えます。私たちは、ビキニ環礁のような場所をこれ以上増やしてはいけません。
もし、環境を大きく破壊してしまう行為があれば、多くの人が知って、それを止める必要があります。話題の環境問題や、自然を守る取り組みを耳にすれば、ぜひ「えことぴ」で紹介してみてください。
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