毎年、花粉症の時期は地獄のような苦しみを味わっている、という方は少なくないでしょう。しかも、それは毎年のように悪化していくようにも感じられます。

 

なぜ花粉症は毎年のように悪化するのでしょうか。また、多くの日本人が花粉症に悩んでいるにも関わらず、杉は伐採されることがないのか、その原因も探ってみましょう。

 

つらい花粉症!杉は伐採されないのか?

花粉症の時期になると、朝から晩まで目も鼻もグズグズし、何をやっても集中できませんよね。そんな恐ろしい花粉症の患者数は、年々増加し、今では国民の4分の1、もしくは3分の1が、この症状に苦しんでいるとまで言われています。

 

それなのに、ニュースから「今年の花粉量は去年の〇〇倍です」というフレーズを毎年のように耳にして、地球に何が起こっているのだ…と絶望的な気持ちにもなってしまうところです。花粉症の原因ですが、主に杉によるものだと言われています。毎年、花粉が増える原因は、杉が増えているから、ということなのでしょうか。

 

これだけ国民が苦しんでいるのであれば、これ以上は杉を増やしてほしくないところです。そもそも、日本はもとから杉が多い国なのでしょうか。日本と杉の関係を確認してみましょう。

 

伐採の前に杉が日本に増えた原因は?

日本の森林面積は、花粉症の原因である杉と檜が28%を占めています。杉だけで言えば全体の18%となり、日本の人工林の中で最も数が多いと言えるのです。これだけ日本に杉が多いことは、実のところ理由があります。

 

1950年代から1970年代、日本では拡大造林政策という試みが進められていました。これは、戦後に住宅建設のラッシュがあり、材木の需要が高まったことで開始された政策ですが、このとき材木は質よりも量が求められました。

 

そこで、注目されたのが、成長が早い杉や檜だったのです。拡大造林政策によって増え続けた杉ですが、やがて安価な外国産の材木が登場すると、売れ残って放置され始めます。

 

そして、杉は成長から30年経過すると、花粉を飛ばし始め、その勢いは100年止まることがない、と言われるほど。これこそが毎年のように杉花粉が増え続ける原因だと言えるのです。

 

杉が伐採されない原因!役立っている側面も

それだけ杉が多いのであれば、伐採してしまえば解決するのでは…と考える人も少なくないはずです。

 

しかし、杉は花粉症の原因であっても、別の側面で我々の役に立っているところがあります。杉は二酸化炭素の吸収率が高く、地球温暖化を防ぐ役割を担い、さらには水害や土砂崩れと言った災害を食い止めるためにも役立っているのです。

 

ただ、杉が伐採されない理由は、これだけではありません。安い輸入材が主流になってしまったことで、日本の林業は衰退し、杉を伐採する人手も足りていない、という現状があります。さらに、同じ理由で需要が減ってしまった杉は、価値が下がってしまい、伐採したとしても買い手が見つからず、そこに費用をかけることもできないため、放置される木が増えてしまうことに。

 

つまり、杉が残り続ける原因は、環境的な側面と経済的な側面、それぞれが関係しているのです。

 

杉の伐採を期待せず花粉症対策を

このような状況であれば、杉の伐採を訴えることは、簡単なことではないと言えます。だとしたら、各々で花粉症対策を行っていくしかありません。最後に、花粉症を自分自身でケアする方法を確認していきましょう。

 

・マスクを装着する

コロナ禍によって、マスクを装着することは日常になってきたため、あえて言及することではないかもしれませんが、やはりこれが基本であると言えます。

 

マスクは花粉も防ぎますが、顔との間に隙間があれば、効果が半減してしまいます。顔に合ったマスクを着用して、花粉症も新型コロナウイルスも、しっかりと対策しましょう。

 

・服装や洗濯物に注意

花粉は衣類に付着するため、注意が必要です。綿やポリエステルといった素材は、花粉が付着しやすい特徴があるため、花粉量が多い日は特に注意して服装を選びましょう。

 

洗濯物や布団を外に干さないことも、花粉のシーズンには心がけなければなりません。花粉の飛散量は12~15時がピークであるため、午前中には取り込みを済ませてしまいましょう。また、取り込んでから掃除機を使って花粉を吸い取ってください。花粉は静電気によって引き寄せられるため、柔軟剤を使って静電気を抑えることもおすすめです。

 

・室内環境に注意

花粉を室内に持ち込まないことも大切です。外出から戻って、家の中に入るときは服や髪の毛を払って、中に持ち込まないようにしましょう。窓を開けて喚起する際は、最小限に開き、短時間で済ませた方が良いかもしれません。

 

また、花粉量が多いときは空気清浄機の利用も検討してください。

 

・症状を抑えるテクニック

少しでも症状を緩和させるテクニックがいくつか存在します。

 

例えば、目がかゆいときは冷やしたタオルをまぶたの上におくことで緩和できます。また、鼻がつらいときは、小鼻の上にあるくぼみ「鼻通」というツボを押せば、スッキリするかもしれないので試してみてください。

 

杉の伐採を願うよりは、これらの対策が功を奏するかもしれません。つらいときは、ぜひこれらの対策を徹底してみましょう。