インドを流れるガンジス川は、世界的に有名な川として知られています。生活の面でも、宗教的な面でも、大きな意味を持つガンジス川は、現地の人にとって重要なものです。

 

しかし、そんなガンジス川で深刻な汚染が発生していると話題になっています。ガンジス川は何が原因で汚染されてしまったのでしょうか。

 

汚染が進むガンジス川とは?

まず、ガンジス川とはどのような川なのでしょうか。現地の人々にとって、どのような意味があるのか、という点を含め、おさらいしてみましょう。

 

ガンジス川は、ヒマラヤ山脈の南、インド半島の北東部を流れる大河です。紀元前1000年頃から、インドの文明はガンジス川を中心としていました。それは、ガンジス川は肥沃な土地を作り、農業が行われ、人々に多くの恵みを与えている土地だったからです。

 

そのため、紀元前6~5世紀は、ガンジス川流域の派遣を争い、多くの国が立ち上がります。その影響もあって、次第にガンジス川は神聖なものとして捉えられるようになりました。

 

さらに、ガンジス川は信仰の対象として重要視されるようにもなります。インド国民の多くが信仰するヒンドゥー教は、ガンジス川を女神として、死者は川岸で火葬し、灰も流すなど、強い敬意を抱くほどです。ヒンドゥー教だけでなく、仏陀が生まれ、悟りを開いた場所も出ることから、仏教の聖地もガンジス川の流域に存在しています。

 

ガンジス川の汚染が深刻に

そんな重要な川であるガンジス川ですが、汚染が深刻となり、問題となっています。ガンジス川は、ヒマラヤ山脈を水源とした美しい水が流れていますが、都市や工業地域の影響を受けています。

 

それは、ごみや腐敗物が混じり、ヘドロ化が見られるといった状況です。2007年には「世界で最も汚染された5つの河川」に選ばれ、ガンジス川流域に暮らす人々、動植物に影響を及ぼしていると言われています。

 

ガンジス川は沐浴が有名で、観光客の中では体験を希望する人もいますが、現地のガイドに止められてしまいます。なぜなら、ガンジス川には多くの病原菌があり、免疫のある現地の人でなければ、健康に影響を及ぼしてしまうからです。

 

ガンジス川は重要視されているにも関わらず、何が原因で汚染されてしまったのでしょうか。

 

ガンジス川が汚染された原因とは

それでは、何が原因でガンジス川は汚染されてしまったのでしょうか。それは1つの要因によるものではありません。

 

まずは、下水道の整備やごみの処理能力が追い付いていないことが挙げられます。未処理の下水が直接川に流れ込むだけでなく、ごみの収集が定期的に行われていない地域では。多くの廃棄物が川に捨てられているのです。

 

さらに、宗教上の理由で家庭にトイレがないこともあり、ガンジス川の周辺で排泄する人々も存在します。宗教上のことで言えば、遺体や死骸も儀式で流されるため、これが汚染につながることもあります。もちろん、工業の盛んな地域では、工場の廃棄物が川に捨てられ、有害なガスが排出されることも。

 

つまり、インフラの整備、宗教的な理由、経済成長による廃棄物といった要因が重なり、ガンジス川の汚染が進んでいるのです。

 

汚染されてもガンジス川は神聖な場所

ガンジス川は汚染が深刻で、多くの悪影響がありますが、それでも現地の人には神聖な場所です。汚れていたとしても、多くの人がガンジス川で身を清め、調理や洗濯のような生活用水としても利用します。インドではガンジス川は生活や文化の一部であるため、切り離すことは大変難しいことなのです。

 

このまま、環境問題が悪化すれば、私たちの生活も似たような現象が起こってしまうかもしれません。それを避けるためには、まず私たちが起こっている問題に対し、強い関心を持つ必要があります。そして、そのような情報を知ったのであれば、多くの人に広めることも重要です。

 

環境問題やエコの取り組みなどを目にする機会があれば、ぜひ「えことぴ」で共有してみてください。